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【  2017年06月  】 

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伝怪 07

伝怪

2017.06.24 (Sat)

  そしてその日から、父はあっち側に行ったきりになった。 厳密に言えば微妙に異なるが、聡美にとってはおなじことだった。父は聡美をあの忌まわしい母とつねに認識し、〝頭の中の母〟とふたりの暮らしを始めたからだ。 朝起きて、朝食の支度をする。 ふたり分の弁当を詰めて、大学に出勤する。 夕方には家に帰り、おでんを作って待っている。ふたりでおでんを食べ雑談をし、そのあとは夢中になって研究の話をする。……延々とく...全文を読む

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伝怪 06

伝怪

2017.06.18 (Sun)

  半狂乱になった、見苦しい剥き出しの女……ああ、そうか。今度はあの時、母の不倫が発覚した、小学六年のころの記憶だ。「そりゃ、たしかに最初は、そんな浮世ばなれしたところが素敵だと思った! 大学講師って肩書にだって、アカデミックな響きがあったわよ! なのに、実際はどう? 稼ぎは少ないし、出世だってしない! 研究研究なんて言って、休みになるたびフラフラどこかへいなくなる! 家だって、いつまでもこんな団地暮...全文を読む

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伝怪 05

伝怪

2017.06.10 (Sat)

  鉄製の玄関ドアの前に立つと、やはり中には父の気配があった。ほんの少しだけ逡巡した聡美は、音を立てないよう注意してドアを開ける。さっきの幻聴も気にはなったが、今は父の状態を確かめるのが先決だ。 上がり框の先にはダイニングの入口が見えていて、すでに忙しく夕食の支度をする音が聞こえていた。ゆっくりと靴を脱ぎ、鞄を胸に抱いて近づいてゆく。おそるおそるキッチンの様子を窺うと、ふり向いた父がにっこりと微笑ん...全文を読む

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伝怪 04

伝怪

2017.06.04 (Sun)

 (どこが、オモチャの町なものか) 根こそぎの歯車が狂ったこの二年半を思い返し、聡美はきつく唇を噛みしめる。 結局そんなものは、ただの幻想でしかなかった。どんなにうわべだけ整えてみても、町の本質も人間の本質も変わらない。ひと皮剥けば、ドロドロの自己愛と保身の塊でしかないことを、今の聡美なら知っている。 その証拠にあれだけ優しかった母は、聡美が小六の時に不倫をした。 相手はよりにもよって、カヨちゃんの...全文を読む

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